維話§初めてのウィーン[14]ウィーンフィル

[承前]

楽友協会の大ホールにたどり着くには、ひとしきり階段を上っていく
のだということを初めて知った。それでもって、ようやくホールのフ
ロアにたどり着いたのである。

1981年当時の楽友協会大ホールは“金色に輝く”とまでは行かず、く
すんだ内装だった。……その後1992年に再訪した時には改装が済んで
いて、金色があまりにも眩かったことを思い出す。

もちろん客席は一杯の超満員。そこに、ウィーンフィルのメンバーが
ぞろぞろと入場し、ややあってロリン・マゼール……実は苦手な指揮
者……が指揮台に向かって登場した。

そして、最初のトゥッティが鳴った瞬間に我が耳を疑った。要するに
これまで聴いたことがないアコースティックに度肝を抜かれたのだ。
何という残響なのだろうか、と思っているうちに艶やかなヴァイオリ
ンの音楽がその残響の上を彩っていく様が確かに見えたのだ。

まだ東京にオーケストラ専用のホールの“ホ”の字もなかった時代に
ムジークフェラインの音を聴くと、このような幻影を見ることになる
のである。そして当たり前だが、ムジークフェラインで聴くウィーン
フィルの音楽の響きが彼らの真骨頂なのだということが実感できた。

ニューイヤーコンサートで演奏されるシュトラウス達のワルツやポル
カは、数を聴くうちに何が何やらと感じてしまい、記憶に残っている
のはムジークフェラインの響きと、アンコールの時にマゼールが新年
のあいさつを各国語で述べたうちの日本語が……

アケマシテ オでめとうございます

とひっくり返っていたことくらいのものである。その後、残念ながら
ムジークフェラインでウィーンフィルをという機会には恵まれでいな
い――ピアノとか室内楽は3回ほど聴いているが――。
                            [続く]

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この記事へのコメント

2009年02月15日 11:18
ウイーンという文字が目に入りお邪魔いたします。 たまたま仕事で昨年まで10年ウイーンにおりました。 その間仕事の合間に2回シルべスターコンサートを聴くことができました。 ヤンソンスと昨年のプレトレです。 今でもウイーンは特別な街だと思います。
2009年02月16日 11:46
コメントをありがとうございます。

最後にウィーンを訪れたのは1998年の冬で
もう10年以上が経ってしまいました。次に
行けるのはいつになることやら。

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