酔話§酒呑み事始め[Ⅱ]日本酒

[承前]

・・・どうも、酒を呑み始めたという具体的な意識がないのは、初め
の自覚が希薄だったということなのだろう。もっとも“自覚して”大
上段から大げさに酒を呑み始める人間がいるとも思えない。

およそ酒を呑み始めた頃の日本酒についての意識のようなものは“辛
口”でなければという先入観だったような気がする。1970年代末期に
越乃寒梅で日本酒ブームに火がつくまで、日本酒は不遇な時代にあっ
た。いわゆる三増酒がはびこって日本酒が信用されていなかった時代
でもある。

そんな時期に口にした日本酒は、例えば“剣菱”のように辛口である
といわれていた酒なのだが、要するに日本酒の味らしきものなどわか
りもせずに能書きを垂れていたのは間違いない。

それじゃあ、いつの頃に日本酒の味らしいものに気がついたのかとい
うと、28歳あたりのようなのだ。酒絡みの本を読んでいて一軒の居酒
屋に興味を持った。店主が酒蔵を回って気に入った酒だけを仕入れて
いるという、今では当たり前のことだが当時としては“超”がつくほ
どに意欲的な店だった。場所は神田淡路町、店の名前は……

一ノ茶屋

……という。この店で呑んだ“梅の宿”の純米酒の衝撃は今でも忘れ
ることができない。日本酒が米から造られているという事実を事実と
して教えてくれたのだった。
                            [続く]

《日本酒のトピックス一覧》

この記事へのコメント

とら
2009年10月04日 22:49
こんにちは、一ノ茶屋さんは今でも営業しているのでしょうか?
すごく昔、行った事あります。
HIDAMARI
2009年10月05日 08:57
一ノ茶屋、もう何年も暖簾をくぐっていません。もしまだ営業しているのだったら、どうなっているものか試しに行ってみましょう。

この記事へのトラックバック