顕話§ミュンヘン一週間[12]山上ホテル

[承前]

ところで登山鉄道は終点まで同じ電車で行くわけではなく、途中駅で
アプト式が装備された登山用の電車に乗り換えるのである。そこから
すぐにトンネルに入り、30分ほど登り続けて頂上直下の“シュネーフ
ェルナーハウス”という山上ホテルに到着した。到着したのはいいが
外の天候が芳しくなく、部屋にいるだけで何もやることがないのだ。

しかたなく昼寝をしたら夕食の時間まで寝入ってしまった。そういう
こともあって夕食への態勢ができず、おまけに――予想通りだが――
そそられるような食事でもなかったので、スープとサラダをボソボソ
食べてさっさと部屋に戻り、再びぐっすりと朝まで眠ってしまった。

そんなわけで熟睡したおかげでそれまでの妙な疲れも取れて、元気に
朝食を食べに行くことができた。おまけにドイツのホテルの朝食では
珍しやの食パンがあって、おいしいトーストをお代わりした。

それで窓の外を見ると・・・これが雪なのである。7月半ばを過ぎて
も、アルプスの3000m級の山には雪が降るのだという現実をしっかり
この眼で見たのである。現実は見たものの、ツークシュピッツェとい
う山の全貌を知るような状況ではなかったというのが何ともはや。

ホテルからは頂上直近のロッジまでロープウエイであっという間だっ
た。そこから表に出て山頂まですぐなのだが、そんな天候なので登頂
は断念して、ロッジから麓のアルプ湖までダイレクトのロープウエイ
でダイナミックに下った。その間ほんの数分である。下界もまた小雨
模様で、すぐにやってきた登山電車でガルミッシュに戻り、昼前の急
行列車でミュンヘンに向かった。

折りもよく昼食時間だったので、座席には座らずにミュンヘンまでの
1時間ほどを食堂車での食事に費やした。交通機関を乗り継いだだけ
なのに、けっこう腹も空いていたりしたのは不思議なことである。
                            [続く]

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