出話§花道の見方&楽しみ方

やっぱりというか、歌舞伎では花道が見えてこそという要素が小さく
ないように思う。

まだまだ歌舞伎に疎かった二昔くらい前は、歌舞伎の興行システムが
わからず、チケットの発売日がいつなのかということも知らないでい
た。それで話題になっているからとチケットを買おうとして、ようや
く“そういうことになっているのか”と判明したのだった。

それでとっくに発売中なものだから、ある時に吉右衛門が弁慶を演じ
た時に買えた座席が3階西側の、しかも2列目というもの。もちろん
いくら歌舞伎を観たことがなくとも、花道での飛び六法を知らないわ
けではなく、だから“ああ、ここでは花道が見えないのだな”とちょ
っとがっかりした。

もっともその場面になると2列目の客は思い切り乗り出したりして、
辛うじて花道を見下ろす形で引っ込みを見ていたのだった。

自分達のほとんど真下を弁慶が駆け抜けていくという様は、それはそ
れでなかなかな迫力があり、そのことが後々の歌舞伎見物に繋がって
いた発端の一つだったりもするのだ。

それから、ちゃんと花道を見渡せる位置で『勧進帳』を観ることがで
きたのは、21世紀に入ってからのことで、三代目松緑の襲名興行だっ
た。そっれでようやく『勧進帳』全体の様子を把握することができた
のである。

その時に『寿曾我対面』を初めて観た。ずいぶんと花道に近い席で、
花道を歩いていく五郎と十郎の衣擦れの音がまた、我々の歌舞伎通い
に火をつけたような記憶がある。

前にも書いたことだが、歌舞伎座一階一等席に座ったのは一回か二回
といったところ。役者が近くに見えるのはいいが、舞台全体を見渡す
のは不都合だし、体をねじらないと花道も見えないというのは個人的
には好みではない。なので多少遠いということはあっても一階の17列
目以降の二等席で舞台空間を眺めるのが鑑賞パターンだったりする。

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