拜話§バイロイト初詣[13]ラインの黄金<上>

[承前]

『オランダ人』と『ラインの黄金』は、どちらも18時開演で21時前に
は終演になる。他の演目より早く始まって早く終わる。少しだけ陽が
残って明るいうちに終わるので気分的には楽だったりする。休憩もな
いから、この日はタキシードではなく普通のスーツで出かけている。

というわけで評判のクプファー演出、バレンボイム指揮の指環の前夜
祭。前奏曲から幕が開くと、舞台のはるか奥から青いレーザー光線が
1筋、2筋と発せられ、音楽の高まりとともに徐々にライン河を形づ
くっていった。スモークの焚かれた川底からピョンピョンとラインの
娘が姿を現してはアルベリヒをからかっていく。

……この冒頭の印象は今でも鮮やかな記憶として残っている。クプフ
ァーの手になる舞台は、ある意味実にわかりやすくて初心者に毛が三
本の我々にも受け容れることが難しくはない。

それに前日の『パルジファル』とは打って変わってバレンボイムによ
る音楽の濃厚な味わいに圧倒された。何というか実によく鳴るのであ
る。というわけでピットからの音響については、ひとまず考えを保留
することにした。

終演後も少しだけ明るさの残っている中をホテルへと戻っていったの
だった、それにしてもエキサイティングな舞台であったことよ。
                            [続く]

憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック