拜話§バイロイト初詣[32]ナブッコ

[承前]

ヴェローナの野外オペラとしての威力が発揮されるのは『アイーダ』
や『ナブッコ』のようなスペクタクル系の作品ではないかというのは
普通に考えることである。

ヴェローナ音楽祭のプログラムで上演史を眺めると『ナブッコ』の上
演回数が思ったほど多くなく、これはまた意外な気がして……。

というわけで夕食をのんびりと楽しみ、ゆっくりとアレーナに向かっ
た。同居人の手には“サルディ”戦利品のケープがしっかりと。確か
に、前日の『リゴレット』終幕の頃には少しばかり底冷えを感じたの
で、ケープはいい買い物であった。

今でもそうだが、粗筋を何度読んでも『ナブッコ』は理解できない。
古代宗教の覇権争いであるだろうと、うっすらは考えていても、対立
している宗教の教義の違いなどがわかるわけでもなく、中途半端な理
解しかできないままなのである。

アビガイレを歌ったのは4年前に亡くなったゲーナ・ディミトローヴ
。メインでナブッコを歌ったのはピエロ・カップチルリだったが、
我々の日はジャンカルロ・パスクェットというバスバリトン、イズマ
エーレはジャンフランコ・チェッケレというテナー歌手で、1971年の
NHKイタリア・オペラ公演の『ノルマ』でポリオーネを歌っていた
りする。指揮をしたのはダニエル・オーレン。

『リゴレット』でも感じたように、野外オペラなるものは一種の“お
祭り”のようなものだから、眼の前の舞台を素直に楽しめばそれでよ
しで、細かいことを気にしても意味はない。

『ナブッコ』という訳若布なオペラで唯一の楽しみはといえば、あの
“我が想いよ黄金の翼に乗って~”の合唱である。その幕の始まる前
に何たらなアナウンスがあった。中身は“皆さんの拍手が多ければ、
あるいはアンコールがあるかも”みたいなニュアンスである。それで
盛大な拍手に応えてアンコールが歌われたのはもちろんのこと。

ヴェローナ音楽祭の記憶はそんなものであるが、スタンドの観衆が手
にしたろうそくがきらめく様子は、そんな光景見たさにもう一度くら
いは行ってもいいかなと思わせるのである。

最後になったが『リゴレット』も『ナブッコ』も終演時間は0時を過
ぎていた。プログラムを見ると音楽祭前半の開演時間は21時半だから
終演は1時とかになってしまうのだろう。何とも元気な人達なのだ。
                            [続く]

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