楽話§ワーグナー・ガラ・コンサート[上]

ホールそのものが好きではないので、オーチャードホールに行くのは
数年ぶりくらいのことになる。足が遠のく理由はたくさんあるが、百
貨店に併設したその無理矢理感が行く気を失せさせるわけなのだ。

20年前の柿落としでバイロイト音楽祭の引越し公演を観た人間にして
みれば、ずいぶんと小粒な記念コンサートと感じられるが、当時とは
特に経済状況が激変しているのだ。という前置きはともかくも……。

前半に『タンホイザー』序曲と『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛
の死が、休憩を挟んだ後半が『ワルキューレ』第三幕という出し物。
正直、前半は余分だったなあと思う。『タンホイザー』は様子を伺う
とでもいった感じで、音楽が掴みきれていなかった。トリスタンの前
奏曲はテンポが遅すぎて、飯守の思い入れが淀んでしまったような印
象である。前奏曲で12分近いというのは遅すぎだと思う。

帰宅して我が家にある数枚の前奏曲の所要時間を見たら、11分半を超
えた1枚を除いた残りは10分半ほどで推移していた。遅さを感じさせ
ない演奏もあって実際に体験もしているが、この日の前奏曲はまんま
遅さを感じてしまったのである。ところで“愛の死”もオーケストラ
のみで演奏されたのは拍子抜け。それにせっかくブリュンヒルデ歌い
が来ているのだから、もう一曲くらい何とかならなかったものか。

東フィルは少なくとも新国の時よりもしっかりした音を出していたの
で、もう少しキリリと締めた演奏が聴きたかったところだが、前半は
ウォーミングアップではある……というところで休憩の後は次回に。

                            [続く]

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