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zoom RSS 落話§古今亭志ん朝〜喉に刺さった骨〜

<<   作成日時 : 2009/09/14 06:39   >>

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自分の中でずうっと引っ掛かっていることがある。古今亭志ん朝のこ
とだ。

彼の実演を聴くことはついに叶わなかった。いずれはいずれはと思い
ながら、気がついたら彼は手の届かないところに昇ってしまっていた
のだった。それに記憶をたどってみたら、テレビでも彼の落語の映像
に接したことが驚くほど少なかった。

我々にとっての志ん朝は、常に姿のいい落語家として存在していて、
そうして存在していることだけで何となく安心していたような気がし
ないでもなかったのだ。それでよもや六十代に入ってほどない彼の死
に接して泡を食ってしまったというのが正直なところだった。それこ
そ“まだ大丈夫、機会はいくらでもある”と呑気に構えていたところ
に降って湧いた訃報だったのである。

数は少なかったが、それでもいくつか聴いた志ん朝の噺の颯爽とした
語り口が記憶に残っていて、だからこの間読んだ『志ん朝の走馬灯』
に書かれている志ん朝の“実像”を読んで、その姿に戸惑いつつ彼の
生き方の片鱗に触れたような気がした。

これまた早世した兄の金原亭馬生は志ん生を継ぐことをせず、本人の
言葉によれば“金原亭馬生の名前を大きくする”ということだった。
そんなことでお鉢が回ってきた形になった志ん朝は困ってしまっただ
ろう。はっきり“志ん生を継ぐのはお前”と言われたようなのもであ
ろう。そんなプレッシャーも兄の馬生が死んだことによって解放され
たのではなかろうか。そこでやっと本来の“古今亭志ん朝”としての
生き道を進むことができるようになったのかもしれない。

だからといって、そんなに生き急がなくてもよかっただろうに……。

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