楽話§ワーグナー・ガラ・コンサート[下]

[承前]

さて、休憩も終わってメインディッシュの『ワルキューレ』第三幕で
ある。演奏会形式では、どちらかというと第一幕の上演頻度は高いと
思うが、どういう経緯で三幕ということになったのだろう。

指揮:飯守泰次郎
バリトン(ヴォータン):ラルフ・ルーカス
ソプラノ(ブリュンヒルデ):キャスリン・フォスター、他

演奏会が間近になったところで、予定されていたアラン・タイトスが
病気でキャンセル。代役は、このところバイロイト音楽祭での出演も
増えているラルフ・ルーカス(バイロイト生まれ)。

飯守が指揮するワーグナーの音楽は、特別な衒いなどはなく、淡々と
インテンポで進んでいく。バイロイトでバレンボイムやティーレマン
といった指揮者が自分の思い通りにオケをドライブするのとは違って
感情の表出が控えめになってしまうのは避けられない。それが飯守の
持ち味であるというのならそのとおりである。

背後から大編成のオーケストラが大音量で鳴らすものだから、時折歌
手の声が届かなかったりもした。海外組の二人は圧倒的な声量とはい
えなかったが、聴かせどころを心得て丁寧に歌っていたと思う。残る
8人のワルキューレ達とジークリンデを歌った我が国の女性たちは、
健闘していたもののオケの音量には勝てなかった。

終演は17時過ぎ、タイミングよく腹も減ってきてくれた。渋谷という
ことであるならば“とんかつ”だろうと、いそいそいつもの店に向か
ったのだ。

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