覚話§読書と記憶~魔の山~

すごく背伸びをして読んだ本は記憶に残らない。

もう20年も前に一念発起してトーマス・マンの『魔の山』を読んだこ
とがある。岩波文庫で上下2巻、それも相当に分厚いのが2冊であっ
た。

ドイツからはるばるとスイスの保養地であるダヴォスに友人の病気見
舞いに行ったハンス・カストルプ青年が“ミイラ取りがミイラ……”
よろしく、結核の診断を受けて保養する羽目になり、そこで様々の出
来事を通して……精神的な成長を遂げていくというものであるらしい
のだ。

あるらしいと書いたのは、去年あたりに最初の数十ページを読み返し
て、ろくに内容を覚えていないということにショックを受けたからで
ある。

最初は単なる滞在者だったカストルプの呑気な日常から徐々に旗色が
悪くなって療養させられるわけだが、その間の日常に登場する人々の
不思議さというものをほとんど覚えていなかったのだ。

それと、物語の途中に長大な思想に関する対話の記述を訳がわからな
いと斜め読みして逃げてしまったものだから、その後の事件について
の事情もさっぱり理解できないままだったりした。

そんなわけで『魔の山』についてはまたいずれ読み直す機会を持ちた
いと思っていたりする。

同じ作者の手になる『ブッデンブローク家の人びと』は2回読んだ。
ちなみにというか、これまた最初に読んだ時の印象とまったく違う内
容ではないかと情けない印象を持ったのであった。

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