闘話§ブレディスローカップ@国立<下>

[承前]

観客のほとんど全員が感じたであろう、走り出してあっという間にト
ップスピードになる様には、声にならないどよめきが上がっていた。
そして守りに入った時の徹底した執拗さ。ラック状態の中に割って状
況を好転させようと試みる凄まじい執着心と集中力。まるで別物の球
技であるかのように思わせるものがあった。

ラグビーのフィールドがこれほど狭いものかと思わされる両チームの
縦横無尽の運動量に、いつぞや大阪シンフォニーホールでシカゴ交響
楽団のマーラーを聴いた時とまったく同じことを思ったのだった……

50mプールにシロナガスクジラ

……最初のトライシーンは前半20分、我々からほぼ正面の位置にオー
ルブラックス11番のシヴィバトウが決めたのだった。その時のボール
回しの巧みさ。ワラビーズが一つだけもぎ取った前半のトライも、オ
ールブラックス渾身のディフェンスのおかげでビデオ判定に持ち込ま
れ、結果としてようやくトライが認められたのだった。後半5分オー
ルブラックスのコンラッド・スミスによるトライは、彼の見事なボデ
ィバランスによって産み出されている。

結果は地力に優るオールブラックスが後半早々に逆転し徐々に点差を
広げて、終わってみれば32対19という点差での勝利となった。後半の
20分過ぎからはワラビーズに疲れが出たようなのとペナルティゴール
ばかりで観客席の緊張もやや落ちた。そんなところでウェーブが起き
たりもしたが、さすがにそんなものに参加などしようとは思わず。

今回書いたものを読み返してみて、自分自身のラグビーに対する知識
とボキャブラリーの貧弱さを改めて思い知った。彼らのプレイを的確
に書き表すことができていないのだ。彼らのプレイに見合う文章を書
くためには、ラグビーに関するさらなる深い知識と観察力が要求され
るのである。

画像

ブレディスローカップのように高度なラグビーのテストマッチが再び
日本で開催される機会があるのなら、その時にはもう少しラグビーへ
の知識と観察力が養われているようにしておきたいものである。

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・・・あれこそが“ラグビー”だったのだ。
                             [了]

《ラグビーのトピックス一覧》

この記事へのコメント

るびあ
2009年11月06日 19:55
こんばんは。トラックバックがご縁でこのブログを拝見させていただきました。ラグビーに対する知識とボキャブラリーの貧弱さを痛感されたとお書きになっていますが、こんなに詳細にまるでライブ会場にいるかのようなブログを書いていらっしゃって、私はトラックバックさせてもらったのが恥ずかしいです。
ラグビーだけでなく、他のブログも少しのぞかせていただきました。
大人の落ち着きのある素敵なブログですね。
さて、私はラグビーが大好きです。たまにスタンドに行くのですが、ときどき心ないヤジや評論家みたいな事を言っている人がいます。それよりも応援するチームへどんな情勢になったとしても最後まで声援を送り、ともに頑張ったねと言えるような楽しい観戦をしたいです。
というのも未だルールがわかっていない初心者だからですが、選手たちが全力を尽くして戦いきったのがひしひしと伝わるゲームを観戦すると、何とも言えない爽やかな気持ちになり、また観に行きたいと思ってしまいます。
HIDAMARI
2009年11月07日 07:08
コメントをありがとうございます。たぶん10年後のW杯でも同じようなことを書くような気がしています。TBいただきました。また覗きにきてください。

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