書話§『甦る昭和脇役名画館』鹿島茂

鹿島茂“大”先生の著書百冊記念は、この傑作である。それこそ東映
任侠映画から日活ロマンポルノに至るまで、いわゆるB級映画も何の
そのと、ひたすら鑑賞を繰り返して達した境地が、ピカリと輝く……

脇役

……を探しあてることだったのだ。著作に登場した俳優の名前は、ほ
んの何人かは知らなかったものの、川地民雄であるとか成田三樹夫の
ように、ぎりぎり見知った人達で満載なのだ。

映画で直接観たとかいうことはないのだが、それでも荒木一郎、ジェ
リー藤尾、天知茂そして岸田森のようにテレビにも登場していた面々
については、我が感性からしても個性的だなあと思わされる存在であ
り、その映像を楽しんだ記憶はたくさんある。

ちょいとばかり不思議な構成だと感じさせたのは、12人の脇役が登場
したのにポルノ女優は2人だけというアンバランスさ。

鹿島茂御本人をして“エロ好き”と豪語したわりには謙虚な登場のさ
せかただが、これもまた彼にしてみれば“脇役”という称号を授ける
に値した女優は、三原葉子(知らない)と芹明香(知ってる)の2人だけ
だという厳選ぶりだったのかもしれない。

『甦る昭和脇役名画館』だが、今時珍しい箱入り単行本である。それ
で豪華本であるかといえばさにあらず。本文に使われた紙はやや粗目
で、活字書体も少しクラシックだし、昭和三十年代という時代のチー
プさをイメージしていて、実に凝った造りになっているのである。

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