板話§顔見世大歌舞伎夜の部~仮名手本~

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……という昼の部に比べると、夜の部の具合はすこぶるよかった。

一番は仁左衛門の由良之助。昼と夜で、こうも違う由良之助を観ると
は思わなかったと苦笑いをしたくなるほどである。幸四郎に比べて、
仁左衛門は別段難しく由良之助を演じているわけではないように思わ
れる。まったく力みもなく淡々と演じているその中の“ハラ”の大き
さ深さを思い知らされたのだ。当代一という言葉にふさわしい出来。

福助は相変わらずムラが多い。遠目には歌右衛門を彷彿とさせる瞬間
もあったりするが、次の瞬間にはグジュグジュになってしまう。もう
ひと踏ん張りしてストレートに型が決まるようになてくれればと思う
のだ。ふところも深くなくのびのびとしたところのない幸四郎の平右
衛門は予想通りだったので、もうけっこうです。座敷での“見立て”
は省略されていた。

話は前後して五段目と六段目。脇に手堅い役者が揃ったので、見応え
はあった。侍二人の権十郎と段四郎、一文字屋お才の芝翫、女衒の左
團次などなど。おかやの東蔵が初役というのは意外だった。それで、
よかったかというと……悪くはないのだが“芝居のし過ぎ”であるよ
うに感じられてしまった。そこまですると勘平の邪魔になりはしない
かという印象も持ったのだった。

というわけで現在の歌舞伎座で最後の顔見世が終わった。次に顔見世
の櫓があがるのは新しい歌舞伎座が完成して後2013年の11月である。

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