蛸話§突然・・・明石焼き

大学の頃の話である。開高健の『新しい天体』という小説を読んだ。

筋は実に馬鹿馬鹿しくて、とある中央官庁の役人が“食糧調査”とか
いった名目と称して、余った予算を消化するために“うまいもの”を
食い歩くというストーリーだった。食べに行く店は、東京であれそれ
以外であれ実在している(いた)その当時の有名な店ばかりだった。

その中に、有楽町にあった日劇の中に実在した“明石焼き”の店の描
写があり、なんやもったりした小麦粉のたこ焼きではない、卵だけで
作られた明石焼きがあるということを知ったのだ。

小説の中で開高は、明石焼きを称して“おしゃれなスフレ”みたいな
表現を使っていて、それが一体どういう食べ物なのか興味をそそられ
たのである。

明石焼きの店を探そうとしたところで、確か日劇の中の店はなくなっ
ていた。それで苦労して(嘘)新宿東口に一軒あるのを見つけて、勇躍
店に向かった。カウンターに座り1セット10個を注文。ほどなく届い
た明石焼きは通常のたこ焼きのようにしっかりとした球状ではなく、
柔らかいがゆえにかなり偏平になっていた。

ゆらゆらと柔らかいのを、お碗に入った出汁につけて口にほおばる。
……要するに、いま思えば柔らかい出汁巻き卵、あるいは球形の茶碗
蒸しということだったのである。確かに小麦粉のたこ焼きに比べれば
“おされ度”は高いとは思うが、まあ店に入って食べるほどのことも
ないかと、その後わざわざ食べに行ったという記憶はない。

なお、本場の明石では“卵焼き”と呼んでいるらし。

【去年の今日】軽話§浅草パラダイス~新橋演舞場~

この記事へのコメント

OKAMURA
2010年02月20日 10:56
そうなんですよ。卵焼きなんですよ。明石に引っ越したばかりの頃、学校の友人に聞いてみたんです。
私「卵焼きっていうけれど、全国的に言う卵焼きはなんていうの?」
友「卵焼き」
私「え!? それじゃあどうやって区別するの?」
友「雰囲気で区別するんよ」
なんだそうです。
HIDAMARI
2010年02月22日 12:11
>友「雰囲気で区別するんよ」

???・・・わからんorz

この記事へのトラックバック