ト話§『研辰の討たれ』野田の設計図

他の人がどうかは知らないが、戯曲とか対談を読むのは苦手である。
話し言葉を活字にすると、間違いなく読みにくくなるのだ。それは、
自分だけなのかどうか。

それじゃあ口に出して戯曲を読むかというと、役者でもないのに芝居
の雰囲気になるはずもないではないか。登場人物だって4人も5人も
出てくるし。素人が一人で丁寧に声色変えていたら……馬鹿じゃんw

野田秀樹の歌舞伎戯曲集『野田版歌舞伎』を買った。これまでに野田
が書いた3本の歌舞伎台本『研辰の討たれ』『鼠小僧』『愛陀姫』が
収録されている。

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これまでに、そのうちの“研辰”を読んだ。芝居だったら1時間半と
かかかるのに、活字だと40分ほどで読み切ってしまうという不思議。
読みながら、まさに野田の粋などだろうと感心していたのだ。そして
見事に構築された芝居の“設計図”といえるのである。

ところが、この設計図どおりに歌舞伎役者が台詞を喋っているわけで
はない、そこには緩急であるとか間であるとか、芝居を面白く肉付け
するための様々な技巧工夫がこらされていることに気がつく。

役者という“建築職人”は、設計図に従いつつも、彼ら自身の現場勘
とでもいった才覚で台本という設計図の隙間を見つけ出しては、設計
図以上の仕上がり目指して彼らは能力を傾けるのである。かくて……
                            [続く]

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