連話§ワタシの酒肴[23]数の子

[承前]

海無し県生まれだったためもあって、実家で暮らしていた時の正月に
数の子がおせち料理として食卓に上ったことがなかった。まあ、貧乏
だったから買えなかったのかもしれない。

北の街生まれの同居人と暮らすようになって、正月の食卓に数の子と
イクラが並ぶようになった。

そうなり始めた頃に思い出したのが、サザエさんのずいぶん昔の漫画
である。元旦の一家がおせち料理の数の子を食べるシーンの擬音……

ポリ ポリ ポリ

……とフキダシにあった。それで貧困なイメージとして“数の子はあ
られ煎餅みたいなもの”という発想しかでてこなかったのである。

長じてようやく数の子を口にした時に“はあ、こういうものだったの
か”と永年の誤解から解き放たれたのだった。かくして、おせち料理
の定番として正月の食卓を賑々しく飾ってくれ“ポロ ポリ ポリ”と
酒の肴しているのだ。
                            [続く]

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