翁話§カール・ベームのモーツァルト

このブログを始めた頃には、カール・ベーム没後四半世紀なる文章を
書いたが、来年は早くも没後30年となる。

我が家にFMからエアチェックした晩年のカール・ベーム指揮による
モーツァルトの交響曲39番、40番、41番の録音が2種類ある。

一つはウィーンフィル(1979年8月7日)と、もう一つはベルリンフィ
ル(1976年9月14日)とのもので、ありがたいことに親切な知り合いが
CD-Rに落としてくれたので、保存版として今でも聴くことができる。

それで、ほぼ同時期にベームが2つのオーケストラで同じ曲を指揮し
てくれたおかげで、世界でもトップクラスのオケによるモーツァルト
演奏がどんなものか比較できるという幸運に恵まれたのだ。

というわけで結論から言ってしまう。個人的な好みではベルリンフィ
ルに軍配を上げたのである。この時のベームにとって、どちらのオケ
との相性がよかったかといえば、録音を聴く限りベルリンフィルでは
ないかと感じたのだった。

ベルリンフィルのモーツァルトは優美さには欠けるが、確かな構築感
とでもいうものが厳然と屹立して、特にジュピター交響曲の終楽章に
おける圧倒的な推進力は、ライブならではの緊迫感だったのだ。

この比較に限ってウィーンフィルが一歩を譲ったと感じたのは、その
構築感の部分なのだった。もちろん“優美”といえば39番のエレガン
スで独特な音色や表現はよだれものだりするが、全体を通すと老齢の
ベームの、たぶん“棒のとおり”に演奏しているかのようで、かなり
ゆるゆると聴こえる部分が多い。

ともあれ、優れたオケでありながらも質のまったく違うオケの聴き比
べの醍醐味が堪能できる貴重なライブ録音なのである。

《オーケストラのトピックス一覧》

この記事へのコメント

2010年03月01日 22:48
はじめまして。
エアチェックの話題から跳んできました。
ベームは来年で没後30年ですか。
うちにも1980/8/17実演のベーム+VPOとのライブのテープが残っています。ベートーヴェンの7番です。
おもちのモーツァルトの2種類の録音は貴重なものだと思います。古くなっても捨てることが出来ないですね。ベームは最近話題にならないので寂しいです。
HIDAMARI
2010年03月02日 13:26
こんにちは、コメントをありがとうございます。

コンサートとオペラとそれぞれ一回ずつのベーム実体験でしたが、ある意味で育ての親といえるような存在だったと思っています。そして時代は変わっていってしまいました。

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