書話§『第三帝国のオーケストラ』

『第三帝国のオーケストラ』を読了した……おもしろかったといえば
おもしろかったが、ちょっと読むのに手こずってしまった。通勤電車
往復5回かかってようやく……。

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フルトヴェングラーに始まる音楽家の名前やナチ幹部の名前くらいは
何とかなっても、ベルリンフィルの事務方とおぼしき名前を把握しな
がら読み進めるのが大変だった。

それにしても、ベルリンフィルなどに残された膨大な歴史的資料から
これだけの仕事を成し遂げたということに感嘆する。

それこそ単純な結論に過ぎるとは思うのだが、要するにナチ側はベル
リンフィルをプロパガンダのために巧みに利用し、そのために多くの
便宜を与えた。ベルリンフィルもまた自己の“優位性”を維持せんが
ためにナチとの関係を利用したのである。

ナチ……具体的にはゲッベルスがベルリンフィルを、ゲーリングがベ
ルリン国立歌劇場の擁護者となって、それぞれに利益をもたらしたわ
けだが、そんな二人の確執の中からカラヤンが登場してきたりという
あたりも興味深いものがあるのだ。

ベルリンフィルを“率いて”いたフルトヴェングラーは自分のオーケ
ストラが特別な存在であるべく心を砕き続けていて、例えば常にベル
リン国立歌劇場の動向を警戒していたというのがおもしろい。それに
バイロイト絡みで知っていた演出家ハインツ・ティーチェンとは折合
いが悪かったというのも初めて知ったことである。

それにしてもこの著者、カラヤンが二度ナチに入党したということを
ご丁寧なことにカギかっこ付きで「二度」と書き記していたりする。
それ以外は淡々と資料を読みこなして書きつないできたのが、なぜか
――それも2か所で――「二度」と記述している。それだけに著者の
感情がほの見える気がするというのは勘繰りに過ぎるだろうか……。

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