懐話§昭和三十年代~町内の貸し本屋~

貸し本屋さんを覚えている人は、昭和生まれでも三十年代前半以前の
生まれに限られるだろうなあ。

大人がどんな本を借りていたかは知らないが、小学生が借りていた本
といえば漫画の単行本とか、あとは子供のための豆知識などがたくさ
ん書かれた実用本みたいなものだったか。それで貸し本屋で借りた漫
画といえば“ムロタニツネゾウ”だったりしたのだ。

借り出し料金だが、3日くらい借りて10円とか20円くらいだったかと
記憶している。もちろん3日もかからずに読み切っては返しに行くの
である。もちろん小遣いには限界があるから、借りにいけるのは週に
一回くらいがせいぜいだった。

そんな貸し本屋が、街中の町内ごとにあって小商いをしていた。それ
がいつの間にか姿を消したのは、東京オリンピックが終わって程なく
という頃で、少年サンデーや少年マガジン、少し遅れて少年ジャンプ
といった週刊漫画雑誌が急激に伸びてきたからである。

そんな貸し本屋の光景を時折思い出すことがある。商店街の中にぽつ
んとあって、10円玉を握り締めガラス戸を開けて中に入ると、ちょっ
と古びた紙の匂いが鼻腔に入ってくるのだった。
                            [続く]

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