灰話§オペラ座バレエ『シンデレラ』(上)

1986年、ルドルフ・ヌレエフが制作した演出による、パリ・オペラ座
バレエ団の『シンデレラ』を観た。

……ああプロコよプロコフィエフよ、どうしてこんなにも暗い音楽を
『シンデレラ』のために作曲したのだ? これは、ほとんど冗談だが
『ロミオとジュリエット』の音楽と入れ替えても、別に問題はないん
じゃないのというくらいではないか。

舞台設定を1930年代のハリウッドに持ってきての、だからシンデレラ
の“シンデレラ・ストーリー”という見立てであるが、どこまで成功
していたかというと、よくわからないところが多かった。というのが
正直な印象か。

それに、舞台が終始暗めの照明だったものだから、シンデレラの家だ
ろうがハリウッドのスタジオだろうが印象がはっきりしないのだ。

そんな今ひとつな演出とは関係なく、オペラ座のダンサーの目を見張
る身体表現には感嘆するしかないのだ。バレエという舞踊がどういう
ものであるのか、それを知りたければ彼らの動きを見るしかない……
それほどに訓練されきって洗練されたバレエが眼の前で展開している
のである。

あるいは、あまりにも彼らが軽々と難しいステップをこなしているも
のだから、バレエとは簡単なものだという誤解を生じかねないところ
がないとはいえない。そんな中にあって、エトワールダンサーである
マリ=アニエス・ジローは“耐える娘”としてシンデレラを演じきっ
たのだった。もう少し華やかな色気がというのはわがままであろう。
                            [続く]

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