灰話§オペラ座バレエ『シンデレラ』(下)

[承前]

オレリー・デュポンといったあたりにしても、やはり見た目の色気に
乏しいところがあるように感じられるが、そのあたりは新しい世代の
あり様ということなのかどうか。

大掛かりな舞台は、予算がふんだんに使われていたというのがわかる
が、森英恵の衣装はインパクトに乏しくて、例えば“四季”の衣装の
いかにも“日本的”なイメージは“冬”が登場するまで四季だとわか
らないくらいのものであった。それと12人が登場した時計も、双眼鏡
で見なければローマ数字だと判別することもできない。どこから見て
も時計が鳴っているとわかる工夫が必要だろう。細かい模様に凝りす
ぎなのである。

最後になるが継母を踊ったジョゼ・マルチネスのポアントには、口を
あんぐりとさせられてしまった。マルチネスだけではない。他の男性
ダンサーの全員の爪先の柔らかいこと・・・。

ヌレエフの振付は“口数は多い”が中身がどうかというと……なので
ある。それはオペラ座バレエを初めて見た『ロミオとジュリエット』
の時もそうだった。

それは例えば今回も、上手か下手の奥から3列で斜めに横切ってくる
コールドの一列一列に異なる振りをつけているということで、さしづ
め踊りのポリフォニーとでも言えばいいかもしれないが、音楽のポリ
フォニーでも3声部を聞き分けられないのと同じように、踊りのポリ
フォニーもそれぞれを見分けることは大変なのだ。

そこまでして効果的かといえば、そんなことはない。明らかにアイデ
ア倒れとしか思えないのである。

この日のキャストはこちら。王子さまならぬ映画スターという役名の
カール・パケットは今年の1月にエトワール昇格を果たした。


【去年の今日】腕話§もしもピアノが弾けて・・・

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