中話§同窓会~上海バンスキング~[上]

ごめん、かんべん。退屈でつまらなかった。初演の時のような熱気や
エネルギーはなかったんだろうなあ。というわけでタイトルに同窓会
とつけてしまった。以下、感じたことあれやこれやを順不同に書く。

たぶん往時の初演を観たら興奮したかもしれないが、応分に役者が年
齢を重ねてしまい、おそらくは戯曲が持っていたテンポが失われてし
まっていたのではなかろうか。まずもって演出兼役者で登場した串田
和美の――正直に書く――あまりの下手さ加減に愕然とした。演技は
もちろん、とにかく台詞を喋る口跡がまったくだめ。串田は演出に専
念して、舞台に立たないほうがいいくらい。それと、思ったほどには
笹野高史に輝きが感じられなかった。

唯一、吉田日出子がいかにも彼女らしい存在感を示していたくらい。

2005年に歌舞伎座で『野崎村』を観た。お光(芝翫)、久松(鴈治郎)、
お染(雀右衛門)、久作(富十郎)、油屋後家(田之助)という七十代とか
八十代の老役者が十代の娘とかを演じたのである。この時に歌舞伎の
年齢による芸の円熟というものを思い知ったのだった。それは奇跡の
ような舞台だったと強烈な記憶として残っている。

だって、どうみたって全員爺さん――全員人間国宝――ではないかと
思いながら、歌舞伎の年齢における表現の深まりのようなものを、思
い知らされてしまったのである。歌舞伎と今回のよな演劇とは根本的
に違うと言われればそれまでのことだが。

であるからこそ、先週末の『上海バンスキング』の舞台上の表現力の
甘さとでもいったようなものが見透けてしまった気がしたのだ。役者
と登場人物の年齢が乖離していけばいくほど、役者の表現能力が試さ
れるのではないだろうか……。
                            [続く]

【去年の今日】喪話§薄れゆき消滅する故郷~さよなら~

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック