棲話§家を所有すること

人並みに一戸建てがほしいと望んだこともあったが、ここまできてし
まうとどうやら一戸建てとは縁のないままに終わりそうだ。

確かにマンションの一軒を所有してはいるが、どうにも空気を買った
ような感じばかりがしてならない。それほどに集合住宅は砂上の楼閣
感が強い。

それでも、曲りなりに所有しているという安心感は大きいものがあっ
て、大地震で崩壊でもしない限りは管理費と固定資産税の財源さえあ
れば住み続けることは可能なのである。

ところが、中にはちょっと不思議な発想を開陳した人間がいたのだ。
我が父親である。彼は持ち家に住むこともなく、借家住まいのままで
八十年余の生涯を終えたのだが、40年も前に発した一言が忘れられな
いままだったりする。曰く……

持ち家は固定資産税を払わなくてはならないから無駄だ

……という主旨のものだった。さすがにというか微妙に釈然とせず、
結局東京暮らしが落ち着いたところでマンションを購入した。実家の
家賃がいかほどのものかは知らないままだったが、東京でそれなりの
物件を借りようとすれば、しかるべく出費が発生するのは明らか。

さらに更新時期の手数料であるとか、腰が定まらずに引越しを繰り返
す可能性も大きいとか、そんなあれこれを鑑みての購入だった。

買ったことはもちろん後悔していないし、所有したからこそリフォー
ムもできたわけだし。

“買うか”“借りるか”・・・もちろん個々が判断することである。

【去年の今日】醍話§五月大歌舞伎~つらね~

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