懐話§昭和三十年代~駅の風景~

[承前]
生まれ育った北関東の小都市には、当時の国鉄と大手私鉄、それに弱
小私鉄の3本が通っていた。

国鉄のほうだが、上り下りそれぞれ20分~30分に1本程度の運行で、
東京までは途中で乗換えをして所要時間は2時間半。それで東京行き
の切符を窓口で買うのだが、券面の表記は“東京電環”となっていて
それが山手線内各駅という意味だったのである。

切符を買うのは窓口であったし、出改札口もその頃はまだ木製の枠に
パンチを手にした駅員が一枚一枚切符を切っていたのだ。

すべてがこれクラシックな設えの駅舎とともに、自分にとって田舎の
駅の風景は、どこか寂しく、それでいて立ち去りがたいものがある。

我が駅には付随して機関車区があった。蒸気機関車の車庫があって、
そこには転車台もあって、SLが出入りしたり方向を変えたりという
のを飽かず眺めていたという記憶もある。

SLの運行は1970年代初期には終了した、あの窓からの煤煙や石炭滓
に悩まされることもなくなったが、同時に失ってしまった情緒もまた
存在していたのだ。
                            [続く]

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