舞話§『ボレロ』モーリス・ベジャール

ベジャールが振付けた『ボレロ』の舞台を初めて観たのは1982年のこ
とだった。それに先立って『愛と哀しみのボレロ』なる映画でジョル
ジュ・ドンが踊っているのを見てはいたりするが。

『エロス・タナトス』という題名の、それまでベジャールが振付けた
作品のアンソロジーで『春の祭典』のフィナーレに始まり『ボレロ』
が最後に踊られたのである。

……一筋のスポットライトの先の細くて白い腕がゆらゆらと上がって
いき、単純な動きの繰り返しが音楽の変化とともに次第に複雑さを増
し、気がつくと赤いテーブルの周囲にいる男性ダンサーが動き出す。

巫女とでもいえるような女性ダンサーは、時に周囲の男性たちを挑発
するかのように、体全体からオーラを発し続けるのである。

男性と女性、どちらが踊っても同じ振付けというのは『ボレロ』の他
にあるのだろうかと考えるが、あれもこれもとモダンバレエを知って
いるわけではない。もしも『ボレロ』くらいのものだとすれば、まさ
に奇跡の舞踏であるような気がするのだ。

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