椒話§サージェント・ペパーズ中の一曲

ビートルズの最高傑作だと、多くの人が口を揃える『サージェント・
ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
だが、個人的にはど
うなのかがいまだにわからないまま。

個々の曲の好き嫌い、興味あるなしはあるが、ここにきて気になった
ままの一曲が『シーズ・リービング・ホーム(She's leaving home)』
なのである。

同居人に歌詞の説明をしたところ、いみじくも“詩というよりは散文
みたいだ”と呟いたが、まさにそのとおり。

水曜の朝5時、裏口から彼女は家を出て行った……に始まって、鼾を
かいて眠りこけている父親に、目覚めて書置きを見つけた母親が“私
達の娘(baby)が出て行っちゃったわ!”と泣き叫ぶ。

平凡な日常を送っていたはずの一家に起こった悲劇を淡々と、格別に
詩的な表現などすることもなく“あるがまま”をポールが描写して、
ジョンが作曲した。

いつでも誰にでも起こり得る人間模様が、淡々とした詩と音楽によっ
って痛切にえぐりとられていく様は、聴きながらすべての光景が脳裏
に浮かび上がって息苦しくなるくらいである。

あまりヒットしなかったということだが、サージェント・ペパーズの
中の特筆されるべき曲として書き記しておく。

【去年の今日】街話§J街通信[63]台風一過の祭り初日

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