発話§同居人初めての独り旅[中]

[承前]

二人で旅行するようになって、それぞれの役割分担がある程度固まっ
てきていた。整理上手な同居人はスーツケースの荷造りを主に、こち
らは飛行機や宿泊先といった渉外全般を受け持つというものである。

それぞれの得意分野を生かすということだが、いざ二手に分かれて旅
行するとなると、細かい不安要素も浮上してきたりして……。

それでも大きなスーツケースとガーメントは、後発組がすべて持って
行くということで、同居人が出発する前日には荷造りが完了。こちら
が出発する前日に空港宅配に引き取ってもらった。

同居人は成田からフランクフルト経由ミュンヘンへ。そこで2泊した
後、ベルリンに移動して夕方合流するという手筈になっていた。そし
て出発当日朝、まだ明けきらぬ中を車で最寄駅まで送り届けて、しば
しの別れ。

同居人は、さばさば&元気にホームへの階段をバイバイしながら上が
っていったが、送り出すこちらは何となく“大丈夫だろうか、ちゃん
と行けるだろうか”という思いが交錯していたのだ。後で同居人から
“ものすごく不安そうな情けない顔をしていた”と聞かされたが、そ
りゃあそうだろうな。

自分自身も一人で海外に出かけたことはなく、同居人に先んじられた
ということにもなってしまったわけで、残された者にしても、じゃあ
自分はちゃんとベルリンにたどり着けるだろうかと、翌々日に思いを
馳せていたのである。

[下]では同居人からの聞き書きで、成田出発からベルリンでの感動の
再会……その一歩手前までを。
                            [続く]

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