懐話§昭和三十年代~洋食屋~

[承前]

実家に住んでいた頃、両親と親しい関係にあった洋食屋に子供の頃か
ら連れて行かれていた。

と言っても、そこで洋食を食べたという記憶は少なくて、むしろホッ
トケーキとかチョコレートサンデーといった喫茶で出すような甘いも
のを食べさせてもらっていたようなのだ。

なかなかに大きな店で、1階が大衆的な洋食屋。2階はもう少し高級
感あるレストランのようなもの、そして地下に喫茶部があって、夜は
バーになっていたのだった。考えてみれば連れて行かれたのはいつも
地下の喫茶部で、奥の厨房でホットケーキを焼いてくれていたのだっ
た。

親しいからといって、食事らしい食事をした記憶は、小学校の入学式
直後に挨拶回りをさせられてちょうど昼時に店に入ったら、お祝いの
ランチを出してくれてそれを食べたというのが強く記憶にある。

いわば“お子様ランチ”のようなもので、小ぶりのハンバーグとかが
盛合わせになっていたのだ。あるいは、これが初めて食べた洋食だっ
たのかもしれない。子供が食べるには重いだろうという思いもあった
とは、今さらな想像ではあるが。

そんなハイカラな洋食屋に黄昏が訪れてしまったのは、実家を離れて
東京で暮らし始めてしばらく経った頃のこと。帰省したある時、洋食
の店は消えてラーメン屋だったかに変わっていたのだ。ああいう料理
が大仰で時代遅れになったのかどうかはわからないが、もっと手軽に
という流れに抗しきれなかったのだろうかと寂しい思いがしたのだ。
                            [続く]

《昭和のトピックス一覧》

この記事へのコメント

Slow Cafe
2010年11月01日 09:00
洋食屋さんってとてもアットホームな好い呼び方だと思います。育ちのせいか洋食は苦手で親に連れられ年に一度くらいの外食のとき『ラーメンで良い」と言う子供でした。あのナイフとフォークが嫌だったのですね。今でもお上手ではありません(`^!!..。
HIDAMARI
2010年11月01日 12:42
あれれ、入学祝いを食べた時はナイフとフォークで食べていたのだろうか……思い出せませんw

この記事へのトラックバック