共話§待降節独墺旅[10]コーミッシェへ

[承前]

この時のベルリン滞在では、コーミッシェオパーに2度行ってきた。
最初はグルックの『オルフェオとエウリディーチェ』を観た。これは
ハリー・クプファーが演出をして、カウンターテナーのヨッヘン・コ
ヴァルスキーがオルフェオを歌って評判になったもの。

我々の時もコヴァルスキーが歌ったのである。エウリディーチェは交
通事故で死ぬという設定で、完全に現代が舞台となっていて、壁のよ
うな鏡が移動して現世と冥界を表していた。

大まかな粗筋は知っていても、初めて観るオペラで音楽に馴染みはな
く、正直なところ記憶に残ったものはほとんどなかったりするのだ。

2回目は『こうもり』で、これはコーミッシェの来日公演でも上演さ
れていたので、それを本拠地で観ることができたおかげで、演出のデ
ィテールを理解することはできた。

ただ、残念だったのは行った日が月曜日と水曜日だったせいか、客の
入りが悪く、ちょっと寒々しい客席空間だったことである。東西ベル
リンでオペラハウスが3つあって、一つはバレンボイムががっちりと
プロデュースしていたりする中で、ユニークな上演を重ねても、客を
呼ぶことは大変なのだと痛感したのだ。

この頃既に3つのオペラハウスの統合話は持ち上がっていたはずで、
そういうこととは別に、ホワイエでは“がんばれコーミッシェ!”の
募金活動も行なわれていた。それで『オルフェオ』は開演直前のラス
トミニットチケットで激安だったし『こうもり』も割引値段で買えた
ので、せめてもとささやかながら募金に協力させていただいた。
                            [続く]

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