閑話§集中すると我々は沈黙する[下]

[承前]

相変わらずクラシックのコンサートの聴衆は基本的に静かなわけで、
それは来日公演をした演奏家達が口々に言うことである。それに比べ
ればドイツのコンサートホールはざわざわとした空気感がある。

そんなことを踏まえていくと、歌舞伎座のざわつきとドイツでいくつ
か行った歌劇場やコンサートホールのざわつきが似ているような気が
するのだ。

緊張感がないといえばそれまでなのだろうが、日常という空気感の中
でオペラや歌舞伎、コンサートが行なわれるようなのだ。異なる国の
ことでありながら、共通した何かがあるのだろうと思った。どちらも
例えば歌劇場だったら序曲や前奏曲が始まっても、歌舞伎座だったら
義太夫の三味線が鳴っても、どことなくざわついた空気がある。それ
が次第次第に収斂して舞台に集中していくという様が見えるようにな
ってきたのである。

そうしてみると、引越し公演なるものも、本場の空気まで運んできて
いるわけでないことが理解できる。だから、オペラの引越し公演は、
観に出かける人達をして、いまだに非日常の出来事という受け留め方
をしているということなのだろう。

もちろん例外も存在している。特にJリーグあたりのサポーターによ
る、のべつまくなしの応援で、個人的にはあれのおかで、スタンドに
行くことから遠ざかってしまっているわけで……。

【去年の今日】週話§気まぐれ週末~テレビ中継~

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