共話§待降節独墺旅[13]アバドとBPO

[承前]

RIAS室内合唱団のコンサートの翌日、引き続いてベルリンフィルの定
期公演に出かけた。

『トリスタンとイゾルデ』は特別公演だったのでそれなりの服装とい
う雰囲気だったが、初めての定期演奏会に臨んでみると、打って変わ
ってカジュアル度は高くなったという客席である。

プログラムだが、何というかちょっと奇妙と言えそうでモーツァルト
『フィガロの結婚』序曲、クラリネット協奏曲、リヒャルト・シュト
ラウスの『四つの最後の歌』ときて、休憩後にシェーンベルクの『ペ
レアスとメリザンド』なのだった。

お好みプログラムというか、それだったら最後にシェーンベルクなど
持ってくるものかとも思ったわけで。

最初、モーツァルトの2曲はアバドらしくギャラントですっきりとし
たオーケストラ。あまりの軽さに驚いたくらい。協奏曲の独奏には、
ベルリンフィルと因縁深いザビーネ・マイヤーが登場した。

彼女が持ってきた楽器は、通常のA管ではなくバセットクラリネット
で、これだとモーツァルトが作曲したとおり下の音が出る。マイヤー
の太目の音色とオケの音色とは、やや乖離していた印象だが、巧さに
ついては何の文句もない。

休憩前にはカリタ・マッティラの独唱で『四つの最後の歌』が。これ
がまた絶品のオケ。定期初日とて、オーケストラはまだ硬い動きだっ
たが、ソプラノが歌い始めた瞬間にすーっと音量を落としての見事な
サポートのおかげで歌がかき消されることもなかった。

マッティラはチェロとヴィオラの間、3プルト目くらいに立って歌っ
た。やはりオケとの融合を考えての立ち位置だったのだろう。終曲、
静かなフルートのトリルが繰り返されるところで、一人がくしゃみを
した……ああ。

最後のシェーンベルクは記憶なし。聴いたことがない音楽の実演は、
いかなベルリンフィルが演奏してくれても“馬の耳に念仏”である。
                            [続く]

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