共話§待降節独墺旅[21]ドレスデン(四)

[承前]

ようやく念願のゼンパーオパーに行くことができた。演目は『魔笛』
で、到着初日にチケット売場に行ったら陰険な係の女性がチケットは
売り切れていると“けんもほろろ”の応対に、埒が開かないと見て、
ホテルのフロントに頼んでみたらあっさりと請合ってくれた。ただし
当日にならないと取れるかどうかはわからぬと言う。まあ、まかせる
しかあるまい。

ということがあり、ドレスデン滞在最終日の午後、我々は無事にゼン
パーオパーに行けることになった。しかも席はといえば、2階席中央
というベストポジションなのだった。

1985年、旧東独時代に再建されたゼンパーオパーに入ると、ホワイエ
の豪華な装飾に驚かされる。それこそ国家の威信を賭けて贅を尽くし
たのだろうと思うが、大理石と見えるものは、実はハリボテだと後日
聞いたのだが、本当だろうか。

2階席正面はまさに御大尽席で眺望抜群。本拠地で聴くシュターツカ
ペレ・ドレスデンの艶やかな音色だが、これだけでおかずの要らない
コシヒカリのようなものである。ただし、個人的だがモーツァルトに
はやや重めに感じられたりもした。

もっとも舞台演出はというと、特別な刺激のない、いかにも常打ち的
なものだったりする。それでも客席が埋まっているのは、観光客の取
り込みに成功しているからだろう。最初にチケットが取れなかったと
書いたが、その当時のチケットは、観光機関とか何かに流れていって
チケット売場にはごく少ない枚数しか置かれていないのではというの
が我々の見立てだった。その後はネット販売なども始まったりして、
状況はそれなりに改善されたのではと想像している。

そういえばパパゲーノを歌ったのはバリトンのオラフ・ベアだった。
この人は東独地域の出身で、西側の歌劇場で歌っていないのかと思っ
ていたらゼンパーで出会うことになった。そんな期間が長かったため
か、日本での知名度は飛躍的に伸びるということはなかった。こうい
うところがドイツにおける地域性の一端というものなのだろうか。
                            [続く]

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