懐話§昭和三十年代~味の素~

[承前]

昭和三十年代の実家の食卓には、常に味の素が存在した。とにかく、
何にでもかけていたという記憶である。今さらだが、わざわざ生醤油
に味の素をかけるなどナンセンスといえるのに、何の疑問も感じずに
かけまくっていたのである。

それで味が向上したとか、そういうことなど詮索することもなく、単
なるまじないか何かという、そんなレベルでの味の素使いでしかなか
ったというのが振り返っての記憶である。

そういえば当時、テレビの料理番組でも普通に使われていたのだ。そ
れで子供心に“NHKはどうして味の素と言わずに「化学調味料」と
呼ぶのだろう?”という疑問を持った。氷解するのは後のこと。

そして気がつけば味の素が食卓から消えていた。それはおそらく添加
物が問題視され始めた時期と一致するのだろう。サッカリンやチクロ
が放逐された“とばっちり”で味の素が消えたような気がする。

その後、化学調味料という呼称から“うまみ調味料”という呼び方に
変わったが、我が家にはいまだに味の素は存在してはいない。確かに
出来合いの惣菜などには入っているのだが、どうやら味覚も鈍いらし
く、ピンっと気がつくことは少ない。

さすがに、大量投入された食品を食べた後に舌が変だということは珍
しくもないことだったりするが……。
                            [続く]

《昭和のトピックス一覧》

この記事へのコメント

Slow Cafe
2010年12月09日 10:32
サッカリン、頭が良くなるなんて言われた「味の素」に存分に毒された世代ですが、近年『味の素』は年に数回使用するくらいですね。
HIDAMARI
2010年12月10日 09:25
40年以上前の実家で摂取してた化学調味料などなどの量よりも、今の様々な市販の食品から摂取している食品添加物の量のほうがたぶん多いのではと思っています。

味の素を食べると頭が・・・嘘でしたねw

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