共話§待降節独墺旅[25]ジークフリート

[承前]

そして『ジークフリート』にたどり着いた。ミーメをグレアム・クラ
ーク、ジークフリートをジークフリート・イェルザレムという、我々
が1991年にバイロイトで観たコンビの再現である。彼の金属的キャラ
クターテナーの声が、まさにミーメを体言化しているといっても言い
過ぎなどではない。

あの時から7年。巨大な送風機などの装置の中を上に行ったり、下に
行ったり……運動量の多さは相変わらずのように見受けられた。それ
にしてもグレアム・クラークの絶妙なるミーメ。

クプファーの基本的な演出コンセプトは、バイロイト版と変わったわ
けではないが、2幕の森の装置がバイロイトに比べてわかりやすくな
ったと思った。バイロイトの森と洞窟と大蛇は、客席から観ていても
少しばかしわかりにくいものがあったのだ。そういう意味では、整理
された舞台ということになろうか。

バレンボイム指揮のオーケストラも、いよいよ融通無碍にというか、
よくもまあというくらいに鳴ること鳴ること。時として、狭いベルリ
ン国立歌劇場の空間が音楽で飽和状態になることも珍しくなかった。
まあ、あれくらい鳴ってくれれば気持ちはよかったりする。バレンボ
イムは、もう何回くらい指環を振っているのだろう……。

先週の『ワルキューレ』に引き続きブリュンヒルデにはブーイングが
飛んだ。終演後、100番のバスを待つ我々の頭に雪が降りかかる。
バスがなかなかやって来ず、20分ほど寒さの中を待ってしまったが、
ようやくバスが到着してホテルへとまっしぐら。
                            [続く]

《憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08》

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