共話§待降節独墺旅[26]ノリントン指揮

[承前]

オーケストラの本拠地で聴く時の楽しみは、常任指揮者以外の客演指
揮者の演奏会を聴けるということである。ベルリンフィル来日公演の
場合、カラヤンであったりアバド、ラトルしか聴けなかったわけで。

それで、ロジャー・ノリントンがベルリンフィルを指揮するという、
思いがけないコンサートのチケットも取れた。曲目はブラームスのヴ
ァイオリン協奏曲で独奏はケネディ。後半がエルガーの交響曲第1番
という“らしい”プログラム。座席は、アバド以来の後部席である。

一曲目はブラームスの協奏曲。登場したケネディは、彼らしい破調な
ファッションで、出てくる音楽はまさに天才と呼ぶにふさわしい。演
奏中に踏み鳴らす足音もまたご愛嬌というところか。ところがという
か、まだまだ続きがあったのだ。

盛大な拍手に応えてアンコールを演奏するのだが、その前にひとしき
り長いスピーチをぶちかましてくれた。でアンコールがバルトークの
無伴奏……これが長い。観客はこの時点でコンサートへの緊張感を失
ったかのように思われた。

だから一度緊張感を取り戻すのは至難の技で、後半のエルガーの長か
ったこと。そうでなかったらじっくりと聴くことができたかもなのに
ケネディという強烈な個性にひっかき回されてしまったようだ。調子
に乗ってはいけないということである。

曖昧な記憶だが、ノリントンはこの定期がベルリンフィル・デビュー
らしかったようで、せっかくのエルガーが何とも気の毒な雰囲気のま
ま終了。カーテンコールも3回ほどで会場の全員がそそくさと一斉に
席を立ったかのように見えてしまった。
                            [続く]

《オーケストラのトピックス一覧》

この記事へのコメント

GPM
2015年02月24日 23:10
突然失礼致します。ググっておりましたらこのブログにたどり着きました。
本日、ディスクを整理しておりましたら古いDVD-Rが出てきまして、正しくこの記事の演奏でした。当時、NHK BS2 にて生中継されていたものを録画して、後日DVD-Rにダビングしたものでした。生中継だけにテロップに演奏年月日が入っておりません。覚えておられましたらご教示くだされば幸いです。宜しくお願い致します。
2015年02月28日 08:10
コメントをありがとうございます。

1998年12月11日~13日の3日間行われたA定期でした。僕が行ったのは12日の土曜日で、テレビカメラは入っておらずでしたから、金曜か日曜日どちらかということになるでしょう……時差8時間ですから、日本時間は日付変わった午前4時スタートですね。

当日の様子は本文のとおりで、ケネディ一人にかき回されたという印象です。

この記事へのトラックバック