共話§待降節独墺旅[33]フォルクスオパー

[承前]

フォルクスオパーで『ニュルンベルクのマイスタージンガー』新演出
というのは、珍なるものではなくて過去にも何回か新演出上演が行な
われているということのようだ。

ベルリンの『トリスタンとイゾルデ』と『ニーベルングの指環』から
のワーグナー後期楽劇の『パルジファル』を除く6作が見事に完結す
るという、粘り腰旅行の最終日でもある。

指揮はアッシャー・フィッシュ。ハンス・ザックスを同居人御贔屓の
ファルク・シュトゥルックマンが歌い、ワルターを巨漢ヨハン・ボタ
が歌う。エファもフィオヌアーラ・マッカーシーというベルリン・ド
イツオペラあたりで何回か聴いているソプラノで、それ以外はフォル
クスのアンサンブルメンバーだったと思われる。

演出はハリー・クプファーの弟子クリスティーネ・ミーリッツ。徒弟
が寄宿学校の制服を着ていたりと読み替え演出だったが、全体は穏健
なもの。最大のみものは、三幕最後のザックスが歌う『マイスターを
侮るな!』の時。沈んでいたオーケストラピットがせり上げられて、
舞台と同一平面になるというもの。ザックスはステージ最前面に進ん
で歌うのだった。

こうやって、可能な限り様々な上演に接することを試みているわけだ
が、この時のようにフォルクスでワーグナーを聴くという機会もまた
なかなかに得難いものだったと思い返しているのだ。

かくして3週間の日程が無事に終了した。明ければウィーンを後に、
日本に戻るばかりなり。
                            [続く]

《ワーグナーのトピックス一覧》

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