共話§待降節独墺旅[17]ワルキューレ

[承前]

『ラインの黄金』から一夜明けた12月6日は、聖ニコラウスの祝日と
いうことで、我々のような大人にまでホテルからプレゼント袋が贈ら
れるという、気分はいよいよクリスマスだが今日は『ワルキューレ』
である。

クプファー演出によるベルリン版『ニーベルングの指環』の舞台は、
後年日本でも引越し上演されたのでご覧になったみなさんは記憶され
ていると思うが、舞台後方前面に正方形状格子の壁が立っている。格
子は何色かのネオン管で構成されていて、場面などに応じて変化する
ようになっているのだ。

『ワルキューレ』の一幕冒頭、格子の奥には逃亡するジークムントが
見える。ジークムントを歌うのはポウル・エルミング。バイロイトで
も同役を歌っているのを見たが、これまた精悍な体躯がジークムント
にふさわしい歌手だが、その体躯にしてはややスタミナに難ありで、
一幕の最後あたりでどうしても息切れしてしまう。それでも舞台姿の
インパクトは強烈で、オペラの舞台でもこういう劇的な演出が可能な
のだと感心する。

さて、ブリュンヒルデを歌ったのはキャロル・ヤールというソプラノ
で、力不足は否めないという記憶。カーテンコールで、あちこちから
盛大なブーイングをくらってしまった。うむ、まあ無理もないかとか
思いつつも、トムリンソンが彼女と一緒に出てきて、まさにヴォータ
ンが娘にするように肩を抱くという姿が印象深かった。

というところで、指環の前半が終了。次の『ジークフリート』までに
一週間ほどインターバルがある我々は、翌日から3泊でドレスデンの
初訪問という小旅行が待っているのだ。で、次回からはドレスデンに
ついて少しばかり……。
                            [続く]

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