悼話§中村富十郎さん(歌舞伎役者)

中村富十郎の舞台を初めて観たのは、もう20年以上も前の歌舞伎座で
『伽羅先代萩』の細川勝元だった。この時の政岡は雀右衛門。

まず驚いたのは、その口跡の見事なこと。仁木弾正の陰謀を見事に裁
きをつけた淀みのない爽やかな台詞回しが強烈な印象を残したのだ。

その後『髪結新三』の大家さんでは“鰹は半分もらったよ!”で新三
を見事にやり込めていたのが記憶に残っている。

一昨年、現歌舞伎座最後の仮名手本通しの時には高師直を演じたのだ
が、既に膝を悪くしていたようで立ち居振る舞いにもどかしさを感じ
たのだった。

歌舞伎を本格的に観始めたのが遅かったゆえに、富十郎の踊りがどう
であったかを書くことができないのは残念である。老境に入って生ま
れた長男は11歳、この先どうなることだろうか。

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