学話§通知表顛末記

成績が良くても悪くても、学期末に通知表(通信簿)をもらうのは気が
重いものだった。

一科目でも上がっていればいいのだろうが、思いもかけなかった科目
が下がっていたりすることもあって、心臓に悪かったりもするのだ。

それでもまあ中学くらいまでは何とかかんとかごまかししのいできた
が、高校になったとたん、成績が絶壁のように急降下した。本当にお
もしろいほどの急降下だったのである。

今は笑って書くこともできるが、成績が落ちだした時“俺は馬鹿か”
とまじめに思った。何しろ数Ⅰの対数あたりで数学と訣別したくらい
である。それこそ、何とかなるだろうと教科書をゆっくりゆっくりと
読み返したりもしたが、最後には匙を投げてしまった。

その後も数ⅡBのお務めも投げ槍に受けていたが、ある日最大瞬間風
速的に微分積分を理解できたことがあった。もっとも、それも春の雪
のように翌日にはきれいさっぱり自分の中から抜け落ちてしまったの
だが……。

父が死んだ後の実家は跡形もなくなり、その直前に引き上げてきた物
の中に小学校以来の通知表があった。高校のを見ると見事な低空飛行
に我ながら苦笑してしまう。ただしというか“赤点”だけは一度も喰
らっていないというのが、いささか情けない自慢ではある。

【去年の今日】連話§ワタシの酒肴[16]ピザ

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