薔話§ばらの騎士オクタヴィアンの名前

電車の中でiPod touchに入れた『ばらの騎士』第二幕を聴いていた。

許嫁ゾフィーの家に、婚約者の名代“ばらの騎士”として銀のばらを
手にしたオクタヴィアンが訪れるという舞台である。結婚を前に夢一
杯のゾフィーは、現れたオクタヴィアンに向かって「寝床で毎晩“オ
ーストリアの貴族譜”を読んでいますの。だからあなたのこともよく
知っています」といって、彼の名前を全部言ってのける。それが……

Octavian Maria Ehrenreich Bonaventura Fernand Hyazinth

……というのだが、なんとまあ長ったらしいことよ。ホフマンスター
ルが適当にご先祖様の名前とか過去の由緒ある名前を並べ立てた揚句
の最後が“ヒヤシンス”ってどういう意味なのかと首を傾げてしまう
ではないか。それにフォン・ロフラーノという姓があるわけだが、は
てさてどのあたりに姓が入るのだろうか。

ところでオペラでは、感心しきりのオクタヴィアンに向かって、ご機
嫌のゾフィーが「もっと知ってますのよ」とはにかみながら「カンカ
ーン!」と彼のニックネームまで言ってオクタヴィアンを驚かせるの
だった。

それにしても、本当に他愛のない会話をここまで書き込んでいったホ
フマンスタールと、それに零れ落ちるばかりの音楽を散りばめていっ
たシュトラウス。二人の、ウィーンという街と歴史への惜しみないオ
マージュなのであるのだろう。

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