懐話§昭和三十年代~長靴~

[承前]

道路事情が良好とはいえなかった昭和三十年代、小学校低学年くらい
までは雨の日の長靴は欠かせなかった。

表通りは舗装されていても、一歩路地などの横道に入ると未舗装の泥
道で、水溜りが点在するという環境は長靴の出番である。当然、ガキ
のことだから長靴を履くと水溜りを遊び道具にしてということになっ
て、しかも子供の長靴はせいぜいふくらはぎのあたりまでだから、調
子に乗ってばちゃばちゃ遊んでいると少し深いくぼみがあって……。

中学に進んだ頃には道路事情が改善して、長靴を履くことはなくなっ
てしまった。次に長靴を履いたのは山小屋でのアルバイトである。

外で仕事をする時は何でもかんでも長靴で出かける。夏場、山の中に
入って登山道にかぶさった笹などを刈り込む時も、登山靴ではなくて
全員が長靴で鎌を持って行くのだ。

長靴は登山靴ほど物々しくなく、おまけに軽いので行動が機敏にとい
う利点もある。簡単に履いたり脱いだりもできるので、仕事をする時
は一番なのだった。

我が家は、それぞれ一足ずつ長靴を持っている。もっとも履く機会は
きわめて少なく、せいぜい雪が降った時くらいなもので、それもお出
かけで履くことは少なく、雪かきをするのに履くのである。

今持っている長靴だが、昔ながらの黒長靴とは違って少しばかりスマ
ートなデザインだったりして、これで街を歩いてもあまり違和感を感
じないのではなかろうか。
                            [続く]

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