劇話§『於染久松色読販』二月花形歌舞伎

ル テアトル銀座二月花形歌舞伎第一部を観た。

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『於染久松色読販』で、市川亀治郎が“お染の七役”をするという、
賑やかそうな舞台である。第二部の近松『女殺油地獄』は、やっぱり
苦手意識があってパス。

というわけで亀治郎が演じたのはお染、久松、竹川、小糸、土手のお
六、貞昌、お光ということだが、芝居の筋とは別に早替わりに重心が
移ってしまうことになるのはいいか悪いか……。

時として猿之助が得意とした“けれん”よりも、ストーリーを前面に
出してほしいと思うのは、おかど違いではあるだろう。

そのストーリーだが『野崎村』お染久松の恋話を江戸に移し、さらに
名刀義光の行方を絡ませるという……『野崎村』ばかりが頭の中にあ
ると何のことやらというお話だが、ストーリー自体は鶴屋南北らしく
展開しておもしろいものだった。

というわけで七役奮闘の亀治郎が、早替わりに比重がかかって全体の
印象が軽かったのに対して、染五郎が一役だけ演じた鬼門の喜兵衛が
凄味もあって儲け物。亀治郎も土手のお六で染五郎と絡む場面では、
生き生きと見えたが、やはり芝居は相手があってのことなのだと感じ
た。

終演は15時過ぎ。曇り空の銀座をぶらついた後は、新宿に戻って蕎麦
の夕食。サラダに卵焼きといったつまみでゆるゆるとビールに日本酒
を呑んでしまった。

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