闘話§フィガロは戦う・・・

『フィガロの結婚』である。中には甘くロマンチックなラブソングも
あるが、それより何より“対立”を増幅するような歌と音楽に満ち満
ちているとは思わないか?

フィガロ「せっかく苦心惨憺してロジーナと結婚させてやったのに、
俺のスザンナの初夜権を主張するなんざ、ふざけた殿様だぜ!」てな
感じで、序曲が終わって早々に宣戦布告をする勢いである。

その後も、バルトロが“フィガロ何するものぞ!”と戦いを挑んでき
たりして、状況は一気に混沌へ入っていこうとするのだ。

極め付けが第二幕のフィナーレだが、これが七重唱という迫力。証文
手に訴えでたバルトロとマルチェリーナに、してやったりという伯爵
とバジリオ。情勢が一気に不利になってしまったフィガロの側。

そんな7人とオーケストラが繰り広げる音楽を初めて聴いた時は腰を
抜かさんばかりに驚いた。何という闘争のエネルギーなのだろうか。

後世、啓蒙君主と呼ばれるような存在がいた時代ではあっても、あた
りまえながら支配者と被支配者の関係は継続していたのだから、すぐ
後に起こったフランス革命を考えれば、モーツァルトのような感性の
持ち主が戦闘的になるのは不自然でも何でもないことなのだろう。

モーツァルトは、そういう時代の空気を敏感に感じ取っていたのだ。

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この記事へのコメント

IIZUKA T
2011年03月18日 12:52
ズバリ,鈴木康司『闘うフィガロ』(大修館書店)という本があります。といっても,実はボーマルシェの一代記。私はこれを読んでいて電車を乗り過ごしました。
HIDAMARI
2011年03月18日 13:58
タイトルを書いた後に“どこかで聞いた記憶が……”と考えていました。確か我が家にもあるはずですが、読んだかどうかの記憶が。

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