板話§三月大歌舞伎~新橋演舞場~

地震の影響で何日か休演した新橋演舞場だったが、引き続き公演が行
われている。三連休最終日昼の部に行ってきた。

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一本目『恩讐の彼方に』は、何とも懐かしい。菊池寛の原作こそ読ん
ではいないが小学生の頃に児童文学『青の洞門』というタイトルで読
んでいるのだ。多くの日本人が粗筋くらいは知っているだろうという
戯曲である。

とはいえ、洞門を掘り始めるまでの詳しい経緯は知らないままだった
ので、そんな前半については初めて知ることとなった。20年もの間、
一心不乱に岩をうあがい続けるという僧了海(中間市九郎)の姿は、そ
のまま、地震の復興に向かっていく日本人の姿と何がしか重なる部分
があるようにも感じたのは、時節柄だろう。

僧了海を演じた松緑は熱演。舞台を締めたのは石工頭を演じた歌六と
いうもの。

二本目は六世中村歌右衛門十年祭追善狂言として『伽羅先代萩』から
“御殿”と“床下”が上演された。魁春が政岡、梅玉が八汐を演じる
というものだったが、さすがにというか“まま炊き”の場面は長いな
あと感じた。さすがのベテランであってもあお場面を飽きさせること
なく見せるのは難しいものだと……。なのでちょいとばかり辛いとこ
ろではあった。

三本目『曽我綉侠御所染』“御所五郎蔵”は、冒頭のツラネから黙阿
弥らしい七五調の台詞を楽しんだ。このところは吉右衛門演じる土右
衛門の凄みが優っていたか。

ところで、三本目の始まる時刻が14時45分。11日に地震が起きた時は
菊五郎がツラネをということだったらしい。舞台上では何事もないか
のように芝居が進んでいたようだが最終的には幕を引き、本日はこれ
ぎりで中断となったようである。

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