跡話§クライバー・ドキュメンタリー

4月2日と9日の2週にわたって、カルロス・クライバーのドキュメ
ンタリー2作と、日本公演のコンサートなどがNHKで放送された。

2日が『カルロス・クライバー~ロスト・トゥー・ザ・ワールド~』
というタイトルで、9日が『目的地なきシュプール~指揮者カルロス
・クライバー~』というものだった。そのうち9日のドキュメンタリ
ーを通して見たのだ。

プラシド・ドミンゴやブリギッテ・ファスベンダーといった彼を知る
人達が、オーケストラ・リハーサルの同じ映像を見ながらコメントを
繋いでいくというなかなか興味深い構成になっていた。

時に彼らは、声を立てて笑い、クライバーの指揮の真似をし、思い思
いに追憶にふけっていたことがうかがえたのである。

『こうもり』序曲の最後、怒涛のプレストでピッコロの走句が高らか
に吹ききられた時、ドミンゴが「完璧だ」と呟いたが、そんな様子を
見ていた我々もまた“すげえ!”と言い合ったのだ。それは、まさに
神が降臨したと言っても大げさではない瞬間だった。

見終わった時、日本における彼の実演に何度か立ち会えたことを感謝
した。おそらく我が一生の間で、ただ一度“伝説”と呼ばれ得る存在
を間近に見て、感じられたということではなかろうか。

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