楽話§オーケストラがやってきた!

『百万人の音楽』に続いて、山本直純が司会をしていた『オーケスト
ラがやってきた!』についてである。放送されたのは1972年から1983
年のこと。

この番組のテーマ音楽がヨハン・シュトラウスの『常動曲』というタ
イトルだと知ったのは、ずいぶん後になってのことで、てっきり山本
直純が番組のために作曲したのだろうと思い込んでいたのだ。

この番組の公開録画も2回ほど行っている。最初は実家のあった田舎
町での収録で、もう一回はオープンしたばかりの浅草公会堂での収録
だった。

田舎町でどういう番組が収録されたのかは記憶にない。浅草のほうを
よく覚えているのは、その時のゲストがフルートのオーレル・ニコレ
だったからである。彼を聴きたいということもあって浅草まで赴いた
のだ。

それで最初の収録の時、彼はオーケストラのフルートの席に座って、
ベートーヴェンのレオノーレ3番の有名なソロパートを鮮やかに吹い
たのである。さらに続きがあって、ソロの後を2番フルートが引き継
ぐロングトーンをニコレがそのまま吹いたのだが、いつまでも途切れ
ることがなかった。

聴きながら“ああ、ニコレは循環奏法を会得したのだな”と思ったの
である。循環奏法は、吸った息を頬に溜めることで延々と音を伸ばせ
るというもので、楽器の特性上オーボエでは比較的習得しやすいのだ
が、ほっぺたを膨らませるような吹き方をしないフルートでは習得が
難しいと言われていたのだ。

ニコレと仲のいいオーボエのハインツ・ホリガーが早い時期に会得し
たのを見て“俺もフルートで!”と闘志を燃やしていたらしい。

話がずいぶんと逸れてしまったが、そんな名人芸を見ることができた
のも、こういう番組があったからこそなのである。

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