笛話§ヴォルフガング・シュルツが定年

今シーズンをもって、名フルーティストのヴォルフガング・シュルツ
がウィーン国立歌劇場首席奏者から定年退職となる。

記憶では、ウェルナー・トリップの後任として首席奏者の位置につい
たはずだから、1970年代末頃のことになるだろうか。カール・ベーム
という指揮者は、見慣れない奏者が座っていると不機嫌になるという
話を聞いているが、首席として座ったシュルツもベームから“あの若
造は誰だ。大丈夫なのか”などなど、チクチク言われたらしいのだ。

などという、お約束の洗礼を受けつつも、まさにウィーンフィルの顔
の一人として30年以上を首席として務めたのだった。

彼の輝かしく端正な音色の記憶は、1989年の『ランスへの旅』のソロ
にとどめを指したい。浅めのオケピットからステージに上がっていっ
て、歌手の横で吹いたのだが、ふっくらとチャーミングな音色は彼の
真骨頂だった。それで、誰が歌ったのかすっかり忘れてしまっている
ことに気がついたのだが……。

その後、カルロス・クライバーが振った1994年日本公演の『ばらの騎
士』では、第一幕で聴かせたフルートソロの見事さもまた記憶に残っ
ている。彼一人で全公演のトップを吹いたらしく、6日目最終日のシ
ュルツは、ほとんど燃料切れのヘロヘロ状態で、終演後はオケピット
の中で、周りの同僚からしっかりと労われていたということである。

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