舞話§六月大歌舞伎昼の部『石切梶原』

今にも泣き出しそうだが夜まで降らずにという日曜日。蒸し蒸しした
陽気の中を新橋演舞場へ。お目当ての筆頭は予告したように吉右衛門
の『梶原平三誉石切』である。

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この日は演舞場で初めてとなる1階席に座った。最後列という20列目
だが、傾斜が緩いことに驚いた。前列に自分より身長が低い人間が座
っても頭頂部が邪魔になるという。これで自分より背の高い人が前に
座られたらアウトということなのだ。5月に明治座でやはり1階最後
列で傾斜があって観やすかったのとは大違いというところ。

さて一本目は苦手な真山歌舞伎で、今回は『頼朝の死』というもの。
染五郎や愛之助、孝太郎という若手の奮闘にもかかわらず、やはりと
いうか共感するところの少ない芝居だと思った。例によって、あれで
1時間半は長い。刈り込んで1時間の芝居だろう。

さて、気を取り直して『石切梶原』で、舞台は同じく鎌倉というのは
意識的な演目の並びなのかどうか。吉右衛門の気持ち朗らかで恰幅の
いい梶原を観るのは2度目のことか。

まさに“役者も役者!”だと心の中で声を掛けていた。脇を固めたの
も段四郎、歌昇、歌六、芝雀と手堅くまとまって、昼食後だったとい
うのに眠気も退散したのだった。

最後が『連獅子』祖父と孫の共演というのは、これまでにどれほどあ
ったものだろうかと思うが、ともあれ片岡仁左衛門と千之助の年齢差
は56歳ということだから、振付けもそのあたりを考慮してというもの
と思われる。

獅子の姿になって花道から登場。親獅子はそのまま舞台へ。そして、
子獅子の千之助だけが七三から後ずさりして揚幕に飛び込むという趣
向だった。舞台上、普通は2つ並んだ所作台に、さらに橋を渡すかの
ように所作台が置かれたのも趣向であるが、効果のほどはちょっと。

爺孫の毛振りもほどほどの回数で、これ以上だと仁左衛門がへばって
しまうだろうというところで幕。物足りないといえば物足りないが、
まあ、昨年の歌舞伎座大千秋楽で観た中村屋親子3人の壮絶な連獅子
は、あれは完全に別世界の物として考えるしかなかろう。

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