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zoom RSS 血話§クライバー〜アンフォルタス〜

<<   作成日時 : 2011/07/06 00:02   >>

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カルロス・クライバーの伝記上下巻をようやっと読破した。にしても
時間のかけ過ぎではあったが。

クライバーとかかわりのあった人達への克明な周辺取材を徹底的に積
み重ねて書き上げられた。お好きな人にはたまらない一冊に仕上がっ
ていた。

もちろん、何回か実演に接することのできた人間としてもクライバー
という人間がどうであったのかは興味がある。そうはいっても、我々
が知っている70年代以降に興味の重心はあったわけだが。

というわけで、指揮をしたと思ったら自己嫌悪に苛まれてキャンセル
を繰り返す。それでもなお、オーケストラや歌劇場はもちろん、聴衆
からの熱狂的な待望があるというのは、クライバー唯一人といっても
過言ではない。

そんなことを読みながら、ふと無理矢理なこじつけが頭に浮かんだ。

クライバーがパルジファルに出てくる聖杯王アンフォルタスであると
いうこじつけである。聖杯の騎士の求めに抗えずに、自らの傷口に苦
痛をもたらす聖杯の儀式を行う。アンフォルタスにとっては悔悟以外
の何物でもないのである。

そんなアンフォルタスとクライバーを比べるのはナンセンスであると
承知している。それが証拠にアンフォルタスと違ってクライバーはし
ばしば彼の務めを“拒否”したのである。最終的にアンフォルタスは
聖杯の儀式をしなくてはならないのに比べれば、クライバーは有利な
立場にいると言えるかもしれないのだ。

アンフォルタスと共通していると思われる一点が“悔悟”であろう。
楽譜のままであれば完璧な音楽を“演奏する”からその完璧性が台無
しになるのだという、音楽家としては致命的に矛盾した発想を持ち続
けてきたクライバーは、演奏すればするほど後悔に苛まれていたとい
うことは考えられる。

拒否はしたが完全に音楽から縁を切ることはなく、ある意味では彼が
首を縦に振ることによって聖杯の儀式は実現することになったのだ。
そしてそれは、彼が生きている時には既に伝説となり、その儀式に参
加することができた我々のような人間の中にも伝説を残していったの
だった。

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