質話§ローエングリン~まとめてみる~

[承前]

というわけで、今回の『ローエングリン』は音楽的、声楽的にはほぼ
満足のいくものだったが、視覚面あるいは演出面ではいささか不満が
残ったのだった。

演出家主導といわれるレジーテアター的ステージに比較的慣れていて
寛容な立場を取っている人間にしても限度というものがあって、何で
もかんでもOKよ、てなわけにはいかないのである。

どうして家を建てていきつつ話が進んでいくのか、という必然性のよ
うなものがきちんと説明されていないように感じたのだ。

どうも、ここ数年のうちに観たオペラ演出で個人的に満足した舞台が
あっただろうかと記憶をたどってみたが、ほんの一つか二つくらいし
かないことに思い至った。この先、オペラの舞台がどうなっていくも
のかと思っていたところ、つまみ食いしたいくつかのドイツの歌劇場
の映像では、レジーテアターの勢いが優勢なのだと認識できた。

さて、最後に某讀賣新聞による日本公演直前の不可解な報道について
考えをまとめることにする。といっても、『バイエルン州立歌劇場来
日を考える』
というタイトルのブログと見解はほとんど同じなので詳
細はリンクから飛んで読んでいただきたいが、明らかに“嫌がらせ”
であるとしか言えないし、具体的に掘り下げての取材などもなされて
いないのは報道の仕事とは言えない。むしろ下品と言うしかない。

取材をしたというのであれば、メトロポリタン歌劇場やボローニャ歌
劇場の関係者がどれくらいキャンセルしたかなども公平に報道するべ
きことではずなのだ。こうして意図的なバイアスがかかること自体も
ある種の風評被害と呼ぶことができそうではないか。

いかに少なからぬ日本のマスコミが興味本位の報道を飽かず繰り返し
ているのか、実によく理解できたのだ。という無知かつ不勉強が見え
見えな話はこれまでにして、最後に一言……

来日したみなさん、本当にありがとうございました!

追記:今回の日本公演だが最初は『ローエングリン』1本だけの予定
だった。それが日曜日の公演で、もう一回の虫が湧いてきてしまい、
何とか『ナクソス島のアリアドネ』の安いチケットを見つけだした。
というわけで明日は東京文化会館である。

                            [続く]

《憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08》

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